あとわたの紙ノート

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老いた職業プログラマは現在どうなっているか(SI下請け業界的に)

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プログラマ35歳定年説

参考にした記事はこちら。

http://karino2.livejournal.com/400478.html

私がこのタイトルを見たときに期待したのは、

プログラマはおっさんになってもやっていけるのか」

この一点である。

この点について参考になる情報が得られるかも、ということを期待していた。いわゆるプログラマ35歳定年説的な言説について新たな知見が得られるかもと思った。だがそれについては期待はずれであった。

高給取りのプログラマの中年以降の資金計画なんて興味がない。

そもそも高給取りのプログラマなんて周りで見たことがない。

だったら自分自身の将来像をイメージするためにも、私の周りの狭い観測範囲であるが、老いた職業プログラマがどのような状況にあるのかについて、整理してみようと思う。

私は以前大手SIerの下請けをしている会社で働いていた。いわゆる客先常駐メインの開発の仕事である。そんな会社において50代のプログラマ上がりの社員はどのような仕事をしていたのか。

その会社では多くは20代〜30代の若手・中堅が中心であったが、一部元々職業プログラマであったが現在は50代という方々が10名ほどいた。その方々の内訳を見てみよう。

  • 2名 管理職出世組
  • 3名 社内他部署移動
  • 1名 現場リーダー
  • 2名 現場メンバー
  • 2名 社内待機

だいたいこんな内訳である。順番に見ていく。

2名 管理職出世組

管理職へ出世した人たちである。1名は役員。もう1名はマネージャになった。狭き門だが、これがサラリーマンの王道だろう。給料もそれなりの額がもらえる。ただし職業プログラマがこのクラスへチェンジするのはなかなか難しい。求められるのは、技術力よりも人間力。方向性を示し、人を動かす力が必要になる。現場で成果を残し、プロジェクトマネージャとして成功し、そしてさらに高い視点で仕事に取り組める人のみが目指すことができる。

ただ下請け開発会社のビジネスモデルでは、いかに高い金額で多くの人を客先プロジェクトに参画させるかが関心事となる。ビジネスの構造的に当然のことであるが、技術が好きでエンジニアになった人はこの管理職出世組の仕事に興味を持てない人もいるようである。

3名 社内他部署移動

何気に一番割合が多いのがこれであった。現場作業の開発や保守ではない社内間接部門。具体的には情報システム部、新人教育担当、営業等である。枠が限られるので、前任者が退職する等のイベントがないとこの枠へ入ることはできない。ただ比較的安定的に落ち着いて仕事ができるので、この枠を狙っている人は多かった。

1名 現場プロジェクトリーダー

50代で客先プロジェクトの現場仕事をしている人は、私の周りではあまりいなかった。理由はいろいろあるだろうが、一番大きいのはやはりお金の問題だろう。どんなに優秀でも50代の平均給与を支払えるだけの金額を顧客からもらいにくくなってしまい、どうしてもコストを抑えやすい若手中堅メンバーが受託開発のメインになる。ただしそんな中でも高い金額で契約をしてもらえるのがプロジェクトリーダーである。

この人は入社してからずっと同じプロジェクトに20年以上参画していた。下手なプロパーよりもいろんなことに詳しいし頼りにされている。その20年の知識・経験をもとに、活躍し続けていたし、定年まで活躍し続けるのだろう。

2名 現場メンバー

一人はプロフェッショナル。もう一人は残念な感じの人である。プロフェッショナルの人は、リーダーシップはないが、ネットワーク構築のスペシャリストであった。とても技術力は高く複数のプロジェクトを兼任し、どのプロジェクトでも頼りにされていた。複数のプロジェクトで売上を上げることができるため、合算するとかなりの額になっていたようである。PM側へ行くのではなく、1技術者として年を取っても成果を出し続けられる人がいることは、多くのエンジニアが勇気付けられるだろう。

もう一人の残念な人はあまり仕事はできずとても単価が安かった。(イコールその人の給料も安かったのだと思われる)。ただ単価が安い割に、経験年数が長いためプロジェクトへの参画は容易であったようだ。(実際にスキルがあるかどうかは別にしてJavaの経験10年あります!と言えるため)

2名 社内待機

雑用をやったり、勉強したりして次の現場を待つ形となる。あまり多くを語るのは難しい。

終わりに

以上の10名が私の観測範囲での「職業プログラマのその後」、のロールモデルである。

まとめとしては、市場で価値のあるスキル(プロジェクト管理であれ、特定分野の技術であれ)があれば年を取っても仕事はあるということだろうか。逆に言えば、価値のあるスキルがなければ仕事がなくなってしまう可能性も高い。仕事とはそういうものだが、特に流れの速いこの業界はそれが顕著かもしれない。

最後に、今回50代の10名をピックアップしたが、実際は50代になる前に退職をする人が一番多いことを明記しておきたい。

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