あとわたの紙ノート

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SI業界はブラックだがWEB系より100倍世の中に価値を提供している

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SIとは、WEB系とは

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SIというのはシステムインテグレータの略です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/システムインテグレーター

情報システムの開発において、コンサルティングから設計、開発、運用・保守・管理までを一括請負する情報通信企業である。

いわゆるITのシステム開発を専門にやる会社です。

WEB系というのは、インターネット上でのサービスを提供している会社です。このブログを書いている「はてな」もそうですね。インターネットが生まれてから発生した業種です。

どちらもソフトウェア開発を通じてビジネスを行うことに変わりはないのですが、雰囲気や文化がかなり違います。

SIとWEB系に関する印象

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誤解を恐れず簡単に言うと、

  • SIはスーツで、ガチガチのルールに縛られながら、クローズドな環境で古いやり方で開発を進める

一方WEB系は、

  • 私服で自由でオープンで新しいテクノロジーをどんどん取り入れながら開発を進める

というイメージがあります。

この記事を書いているはてなブログや、はてなブックマークではSIに対してはネガティブ、WEB系に対してはポジティブな記事が目立ちます

最近でもこんな記事が話題になっていました。

人売りIT派遣企業はそろそろ壊滅させてもいいと思う

ブラック企業の見分け方(IT企業編)

私はもともとこの記事にあるようなシステム開発の仕事をしていました。

いわゆる大手SI企業の下請けとして、です。

期間は10年弱ぐらいでしょうか。

下請けの会社は、参画するプロジェクトによって働く場所が変わります。

大小様々なプロジェクトに携わってきました。

いろいろな常駐先で仕事をしてきたので、この業界のことはだいたいわかっているつもりです。

今はSI業界からWEB系企業に転職しました。

転職理由はSIの働き方が嫌になったためです。

SIの客先常駐はブラック企業で違法だというのも、間違いではないと思います。

一個人としてはもうSI業界には戻りたくありません。

しかしSI企業はダメ、WEB系は素晴らしいとは単純に思えません。

特に世の中へ貢献度という意味では、正直大きな差があると感じています。

WEB系よりSIの方が世の中に価値を提供している

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例えばあなたが今見ているスマホ

スマホのアプリやスマホ用WEBサイトを作っているのはWEB系企業です。 (OSはAppleやGoogleと言った海外企業ですが。)

しかし実際に通信を行っているネットワークのインフラ部分を管理しているのは大手通信事業者。そして実際のシステム開発を担っているのはSI企業・メーカーとその下請け業者がシステムを作っています。

例えばあなたが毎日乗っている電車

SuicaやPasmoなどのICチップ、ひいては電子マネー、列車の運行状態の管理や運賃の計算。電車に乗るだけでも様々なITシステムが存在しますが、これらの開発をしているのもメーカーとSI企業、そしてその下請け業者です。

例えばあなたの給料振込

Aさんの口座からBさんの口座にお金が移動する時、実際にお金が移動しているのではなくシステム的にデータが移動します。これを管理しているのも大手メーカー、SI企業(そしてその下請け)です。

みずほ銀行のシステム統合なんて、いつ完成するんだよ(笑)なんてネタにされますが、実際銀行のシステムが止まったらシャレになりません。 実際超重要だからこそこれだけ話題になります。

いくつか日常で利用するITシステムをあげてみましたが、日本の9割以上のITシステムはメーカー・SIerに作られています。

大手SI企業のサイトから、開発システムを抜粋してみました。

  • コンビニのレジ・POS
  • 銀行、クレジットカード
  • 年金・保険
  • 気象情報
  • 電力・水道・ガス

安定して動いて当たり前のインフラばかりですね。普通に動くことが当たり前で、意識すらしません。これらにトラブルがあったら、本当に困ります。

一方、今度はWEB系企業が提供しているシステムをあげてみます。

  • レシピサイト
  • ソーシャルゲーム
  • 文字が横に流れてくる動画

こんな感じでしょうjか。

これらのサービスもも世の中を便利に楽しくしてくれてるのは間違いありません。 サービスに優劣もないと思います。しかしそれでも世の中に対する重要度、必要性の高さは違います。無くなってしまって困るのはどちらかと考えてみてください。困るのはまちがいなくSI企業が開発しているシステムではないでしょうか。

SI企業には優秀な人も多いです。高学歴でコミュニケーション能力も高い優秀な人が働いています。

SIがダメだという論調にはどうしても違和感を感じます。SI企業が開発しているような、超重要な社会インフラであれば、バグが発生した時の社会的インパクトも大きいです。

そうなると必然的に安定したやり方(=今までやってきて問題なかったやり方)を選びがちですし、進化よりも現状維持を求めざるをえません。それはシステム化する対象の業種の違いからくるものだと思います。

別の言い方をすれば、システムに不具合があった時に「ごめんね!ガチャ1回無料にするから許してね♩」と言えるサービスか、それとも下手すれば人命に関わってくるサービスかの違いです。

(しかしそれでも、もちろんSI企業に問題がないわけではないでしょう。というより実際にいたからわかりますが、問題だらけです。改善できる点は多々あると思います。)

終わりに

多重下請け構造の話などとはまた別ですが、インターネット上ではSIは旧体質でイケてない、WEB系最高!みたいな意見をよく見かけるので、本記事を書きました。

「どちらが技術力が高いか」とか、「どちらで働いている人が幸せか」とか、比較する軸はいろいろあると思います。ただ日本社会への貢献度という観点では圧倒的にSI企業の方が高いと思う、という話でした。

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

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